なぜ自衛隊の任務拡大や制服組と背広組の対等化か

自衛隊の任務拡大 平和国家の形が壊れてゆく 愛媛新聞社説2015年02月22日(日)

  • 自衛隊を随時、海外派遣できるようにする恒久法の概要を、政府がまとめた。国際紛争時に他国軍の後方支援を可能とするなどの内容。周辺事態法やPKO協力法の改定とともに、安全保障制度を根本的に変えてしまう提案だ
    これまで平和憲法のもと、非戦国家として国際社会に貢献してきた日本の外交を否定する危険な一歩である。国は歯止めをかけるというが、担保することは不可能だ。なし崩し的な派遣拡大が懸念される今こそ一度立ち止まり、慎重な姿勢で平和主義を貫くための議論を望みたい。
     政府案には、目を疑う内容が並ぶ。国連安全保障理事会の決議に基づかずに武力行使する有志国連合の支援を可能にする。武器・弾薬の提供も認める―。直接「戦闘」に参加はしないとはいうものの、どこまでが前線で、どこからが後方支援かの線引きなど、できようはずがない
    憲法の精神を踏まえて「他国軍の武力行使との一体化」を禁じると法案に明記するという。しかしこちらもまた、武力行使をどう定義するか明快な解釈はないのだ。戦術的にみれば、後方支援こそ戦闘を可能にする重要な「戦力」だとの指摘を傾聴したい。
     政府は併せて、周辺事態法などの改正も検討。自衛隊活動の地理的縛りを撤廃し、武器使用基準を緩和する考えも打ち出した。「積極的平和主義」の名のもと、武力行使の事実上の解禁に向け危険な扉を開けようとしているかのようだ。深刻な事態だとの危機感を持たねばならない。
     「イスラム国」を名乗る過激派組織の人質事件で明らかになったように、相手にとっては戦闘も後方支援も、すべてが「攻撃」である。このままでは、最も重要である日本の幾多の平和貢献活動が制約される恐れもあろう。
    国際情勢が厳しさを増しているのは事実だ。しかし、これほど国際秩序を乱したのは紛争の当事者だけではない。先進諸国の武力介入や弾圧や制裁が、さらに混乱を招いている現実に目を向けたい。
    先進国の一員ならば、日本にも混乱を招いた責任があるはずだ。しかし今の日本は混乱を収めるどころか、渦中に身を置き、翻弄(ほんろう)され、平和国家としての主体性を失っている。暴力の連鎖を断ちきる外交努力こそが、日本に求められる役割であろう。
     「国民の生命を守る」というのなら、法整備に関わる関係者に命の意味を問いたい威勢よく「派遣」と言うが、安全が担保しにくい地域に実際に赴くのは、法をつくった政治家や官僚ではないのだ。
    未来ある若者が、自らの命を失い、あるいは命を奪う任務に就くという現実に鈍感であることが、最大の危機であると認識したい
  • ※愛媛新聞22日の社説に同感する。最初に国際貢献があり一見良さそうに見せているが、次にその時危機に瀕したらどうする。自らを守るためには武力での対応を強化で解決を図る。そのためにはそのための法の解釈拡大から法改正へ、そして憲法の9条の改正が最終目的である。結果これまで平和憲法のもと、非戦国家として国際社会に貢献してきた日本の外交を否定する危険な一歩である。これは、なし崩し的な派遣拡大が懸念される。さらに、制服組と背広組を対等化することでより戦闘的な戦略がしやすくなりシビリアンコントロールが利かなくなる。いずれにしろ、日本の平和を脅かすものになる。